「六草いちか」のペンネームの由来

「六草いちか」はペンネームです。
本名の苗字はドイツ姓で「ロッソウ」ですが、カタカナで書いてもなかなか覚えてもらえず、名前を覚えてもらえないというのはなにかと不便で悲しいもので……。
そこであるときから漢字を充てて書くようになりました。

ここからのカンタン解説は「🌸カンタンに言うと🌸」をご覧ください。
もうすこし詳しい説明は、「🌸もう少し詳しく解説🌸」に記します。

🌸カンタンに言うと🌸
そこで「ロッソウ」に代わり「六草」という漢字を充てるようになったのですが、あるとき、「6」は不完全数だと知りました。
完全なる佳き数字「7」らしい。いいなあ…とこの数字に憧れるようになり、夢の文筆業を果たせた暁には「7」になりたいと思ったのでした。
そこで6つの草+1つの花で、「ろくそういちか」というペンネームを考えたのです。しかしこれを漢字で書くと「六草一花」…ふむ…なんだか花札みたい💦
そこで、「一花」はひらがなにひらいて「六草いちか」となったのでした。

🌸もう少し詳しく解説🌸
ドイツに移住する前、京都の清水焼の窯元に絵付け師として勤めておりまして、草花模様を描くことが多かったので、「七草」から「六草」という充て字を思いついたのです。
「六草」と書いて「ロッソウ」と読んでいただく…。

京都で描いた作品(勤務中の作品は肖像権の関係上アップできないので、これは余暇に描いた自身の作品です)

それは、ベルリンに住み始めて落ち着いたころ、嬉しいことに陶磁器絵付け師として自営(フリーランサー)許可が比較的スムーズにもらえたことから、清水焼の絵付け画材を輸入し、ベルリンでも作品作りをするようになった背景ともかかわりがあります。

これはベルリンで描いた作品…わずかに手元に残ったものたち。

京都には師匠がありましたが、ベルリンでは一人。「七草」を描くにも大切な存在がひとつ足りない「六草」と掛けて、屋号としもなかなかよい命名だと思っておりました。

けれどもドイツ生活が長くなり、ドイツの習慣が身につき始めた頃、「六」は不完全数であると知るに至りました。

「神はその第七日を祝福して、これを聖別された」、7つのラッパ、7つの星、7つの金の燭台、ラッキーセブン…。
佳きものはどれも7ですが、6は不完全、神が嫌うもの。高さ60キュビト・幅6キュビトの金の像、野獣の数字は666。
6月6日午前6時に生まれた悪魔の子ダミアンを巡る物語『オーメン』の、ダミアンの頭にあるアザも666…😱

長男が生まれてしばらくすると、育児のかたわら、文章を書くようになりました。
日本にいた頃からあれこれ書いていて、ドイツに来てからも当時大阪にあったドイツレストランのニュースレターに連載を寄稿したりもしていました。
絵付け作業のためにはある程度の時間を確保しなければなりませんから、子育ての最中のちょっと空いた時間にはペンを持つことのほうが気軽で、その機会が増えていきました。

二人目が生まれて、ハイハイするようになると、この子は「ダメ」と言った物から手を伸ばす活発な子で(絵付けは、陶磁器にニカワという皮膜を作ってから、その上に描いていくのですが、素手で触ると指の油脂がニカワに付着し、絵の具をはじいて描けなくなります)、2部屋のアパートでの作品作りはなかなか困難となり、3人目が生まれたときには、私のキャパを大幅に超えてしまい、絵付けを断念。

そのころ、心の中に育っていたのは、文筆業に従事したいという思い。

どうすれば文章を書く仕事が得られるのか、当時は想像もつきませんでしたが、3人目が生まれてすぐ、将来私は絵付けの仕事に戻るのではなく、文筆の仕事に進めるよう今から準備したいと夫に打ち明け、3人目は生後8か月で保母さんに預けることになり、図書館通いが始まりました。
あの頃のもっとも大きな憧れは小説家になることでしたから、ベルリン国立図書館に日参し(ここには日本の小説が相当数蔵書されています)、純文学を読み漁ったのです。

その合間に抱いた思い。
夢の文筆業を果たせる日には「7」になりたいと。
そこで6つの草に1つの花で、「ろくそういちか」というペンネームを考えておりました。

文学の師を得るという幸運にも恵まれ、切磋琢磨の日々でしたが、文筆デビューは雑誌ライターとして。

夢が叶って、執筆依頼を受け、筆者名をペンネームにしてもよいかと相談し、快諾されて、名前を提出する段になんて、漢字で書くと「六草一花」となんだか花札みたいだな~と💦
そこで、「一花」はひらがなにひらくことにして「六草いちか」となったのでした。

もともとは「ロッソウ」の読みでしたが、文筆の独学をし始めた頃から、アテンドの仕事を頂くようになり、お年を召した方から「ロクソ―さん」と呼ばれることが多かったので、「六草いちか」の読みも敢えて「ろくそういちか」としたのでした。

そんなわけで、2000年から職業としての執筆を始め、2007年に転換期を迎え、ベルリンに住んでいるという地の利を生かし、私にしか書けないことを書きたい……2年の準備期間ののち、ノンフィクションを取り組む機会があり、2011年に単行本が出て、2年後に続編、その次に…と、現在にいたっております。

そんなこんなの、「六草いちか」でございます。

ちなみに春の七草は、正月七日の七草粥がゆに入れる若菜。
セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ(タビラコ)・スズナ(カブ)・スズシロ(ダイコン)の七種。
いっぽう、秋の七草は秋に咲く代表的な草花。
ハギ・ススキ・クズ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・キキョウの七種。
同じ七草でも、清水焼の絵柄は秋の七草のほうですね。
名前の由来を訊かれて応えると、「いちかばちか」からかと思ったと言われたり、「一六銀行ではないのですね」と微笑まれたりされることもありますが、当の本人、博打も借金も苦手な小心者。

千里の道も一歩から(→大阪千里に生まれ育ったもので💦)、ひとつひとつコトコツと地道に頑張ってゆきたくおもっております。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

六草いちか拝